玉掛技能者

現場シゴト全般。「タマカケ」持ってないと、お話になりません。



 



講習の流れ、感想等

 2002年10月某日からの3日間、コマツ教習所東京センタにて講習は行われた。申込みは、初日に申込書と受講料を提出する形態だ。
 講習は1日目学科、2日目学科〜実技、3日目実技〜実技試験という日程だった。教官はコマツという事もあり、元クレーン部門営業マンのクレーンのベテランである。
 玉掛けの語源は様々で、要はバランスが難しく、危険な作業にことだという。具体的にいうと、品物をワイヤーロープでバランスを考え巻き付け、クレーンのフックに掛けるまでの作業である(外すのも玉掛け)。
 従って、複雑な形状な品物や、重心の片寄った品物の玉掛は難しく、吊すと危険であり、語源通りの作業である。

 講習科目は…

学科
 「クレーンに関する知識」3時間
 「クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識」3時間
 「クレーン等の玉掛けの方法」7時間
 「関係法令」1時間
実技
 「クレーン等の玉掛け」6時間
 「クレーン等の運転のための合図」1時間

 …である。

 学科は、特に中学生程度の数学物理の知識が伴う。質量目測では、様々な形状の体積や重量を計算で求めたり、モード係数を求めたりする。
 実技では、ロープの巻き方や掛け方、クレーン運転手への合図も覚えなければならない。尚、試験は自分で玉掛け作業をするのではなく、3人1組となり、自分が2人の補助作業者に対し、次々に玉掛け動作を指揮するものである。
 ハッキリ言って、「玉掛」は難しいです!

 実技手順は次の通り・・・

手順の内容 合図動作 玉掛動作
1.吊り荷の確認
(質量・重心)
- ・チョークで重心位置に印をする。
・吊り荷を指差し質量と重心位置を確認する。
「吊荷〇〇〇〇Kg・重心位置ヨシ」
2.吊り具の確認と点検
(長さ・太さ・損傷)
・ロープの確認のため引伸ばしを指示する。
「ロープ確認」
(補助者は、長さ・太さを確認し、確認の返答をする)
「ロープ確認、よし」
・アイの損傷等点検、曲がり修正を指示する
「ロープ点検」「ロープ点検、ヨシ」
「待避」「待避、ヨシ」
3.フックの誘導 ・クレーンの「呼び出し」
・誘導位置を運転者に指示する。
「位置の指示」
・吊り荷の重心付近の真上に誘導する。
「旋回」
・フックをアイが掛けられる高さまで下げる。
「巻き下げ」
・フックが荷の重心の真上に有る事を2方向から確認する。
正面から「ヨシ」、側面から「ヨシ」
4.荷掛け - ・吊り位置をチョークでマークし、補助者に吊り位置を指示する。
「吊り位置」
・玉掛けの方法を指示する。
「〇〇〇・〇掛け」
・重心位置から等分に振り分ける。
5.アイ掛け ・アイ掛けを指示する。
「アイ掛け」
・荷掛けアイ掛け状態の点検確認
「アイ掛け、ヨシ」
6.地切り直前(ロープの緊張) ・フックを巻き上げロープが張り前に停止させる。
「微巻き上げ」
「微巻き上げ」
・ロープが寄らないように押さえを指示する。
「手鉤、待避50cm」
・玉掛け状態の点検をする。
「くくり、ヨシ」「振り分け、ヨシ」「吊り角、ヨシ」「張り、ヨシ」「アイ掛け、ヨシ」
・補助者を待避させる。
「待避」「待避、ヨシ」
7.地切り 地切りし、高さ10cmで一旦停止させる。
「微巻き上げ」
・荷の傾き、玉掛け状態の点検・確認をする。
「地切り」
8.巻き上げ及び運搬 ・約2mまで巻き上げる。
「巻き上げ」
荷卸し位置を指示し誘導する。
「位置の指示」「旋回」「停止」
-
9.着床 荷を高さ10cmまで下げ一旦停止させる。
「巻下げゥ竡~」
荷を着床させ、一旦停止させる。
「微巻下げ」
ロープの張りがなくなるまで下げる
「微巻下げ」
・荷を押え着床位置に合わせるように指示する。
「手鉤、振れ止め」
・着床位置を確認する。
正面から「ヨシ」、側面から「ヨシ」
・荷への歯止めを指示する。
「歯止め、ヨシ」
荷の安定を確認する。
「安定、ヨシ」
10.荷外し ・フックをアイが外せる高さまで下げる。
「巻下げ」
・フックからアイを外す指示をする。
「アイ外し」
11.巻き上げ ・フックを2mの高さまで巻き上げる。
「巻き上げ」
運転士に対し、作業終了の合図をする。
「敬礼」
-
12.後片付け - ・荷からロープを外し点検修正し所定の場所に収納するよう指示する。
「ロープ外し」「点検・修正」
「ロープ点検・修正、ヨシ」「収納」
・補助者に作業終了の合図をする。
「敬礼」

教訓:玉掛技能者(技能講習)はクレーン運転士(免許)を操る。



使用テキスト等

コマツ教習所株式会社,『玉掛け講習テキスト』,2002.08


  

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