大型特殊自動車第一種運転免許

大型特殊自動車第一種運転免許




私の「運転免許証」の種類

    感 想 等   

 2003年02月20日〜03月27日の全5日間(5回)、府中運転免許試験場にて受験した。初回の申請手続きは、01月31日に行った(視力検査と免許証を予約カードとする登録)。必要なものは、既得免許証、写真1枚、手数料6150円(内訳:初回試験料4400円+申請料金1750円)である。 
 大型特殊試験受験理由としては、大特免許は重機系「技能講習」受講時に、とても有利に働くからである。例えば、フォークリフト運転技能講習では、科目免除資格が全く無いと受講料が相場50000円に対し、大特免許所持者の場合は講習の大部分が免除され、受講料が約15000円となる。同様にして、車両系建設機械や不整地運搬車、ショベルローダー運転技能講習等にも作用する訳である。
 いわば、大特免許は技能講習のフリーパス・優待券といった具合だ。

 以下、大特免許取得・奮闘記をお送りする(※2003年のお話)。
 
2003年02月20日 晴れ-強風
 初回は13:00からの午後試験だった。府中運転免許試験場2階の技能試験室へ向かう。
 時間となり、受験票を提出、本日の採点票を交換すると、試験順番に従って着席し、採点票に住所・氏名等を記載する(ボールペンのみ可)。その後、装備品を解除した試験場仕様の警官が、試験の詳細を全車種試験合同で説明する。警察官にお世話になる機会の無い人間にとっては、とても妙な雰囲気であり、他の資格試験には無い緊張感が炸裂する。説明は『受験の手引き』第2 安全運転のポイント 6頁〜を確認する形式だ。
 説明が終わると、いよいよ技能試験突入である。大型特殊の待合室・プラットホームは一番奥だった。私の順番は3番目である。気になる試験車両は、技能講習でお世話様=コマツ「WA100」ホイールローダーである。私は事前に、HPや別冊ベストカー『The 建機』(三推社●講談社)という本で機械の詳細を調べ、WA100については承知していた。
 操向は前輪と後輪が同じ軌跡を辿る、車体屈折式(アーティキュレート式)である。不明な点は、バケット等の作業機系の各種レバーの操作法であった。
 いよいよ、私の順番が回って来た。車両右側のステップを登り、ドアを開け乗り込む。運転台は狭く、天井は低い。試験官の警官に、採点票と受験の手引き、既得運転免許証を渡し、運転席に座る。ベルトは腰に巻くタイプで、ミラー類を確認する。
 初回という事もあり、試験官から一通りレバー類の説明があった。不明であった作業機の操作レバーは右側にあり、小さな説明イラストを参考に操作しろ、とのことだった。その前に、まずはエンジンをかけ、同じく右側にある赤く細い安全レバーを押し倒し、作業機レバーのロックを解除しなければならない。解除しなければ操作できない構造になっている。そして、バケットを上げ、チルトし、赤い安全レバーを元の状態に引き戻し、ロックすると操行姿勢の出来上がりである。
 試験官から「準備が出来たら、出発して下さい」と言われ、ウィンカーを右に出し、ハンドル左下のギアを2速に入れ、サイドブレーキに手を掛けつつ、後方等確認を行い、解除して出発する。ちなみに、私はハンドル操作をフォークリフトで鍛えた力を信じ、左手一本のノブ操作を行った。
 わずかな、ならし運転を終え、左路肩へ一時停止後、正式に試験スタートである。試験コースは試験官の案内による。
 右左折のハンドルを切るタイミングは、タイヤがデカく、前輪が良く見えるため容易であり、縁石に乗り上げたり、脱輪したりする事は少ないだろう。しかし、何より試験中に気掛かりだったのが、直進での「ふらつき」であり、すかさず試験官から「ふらついてるよー」と一喝。そして、外周の通行帯が2つある道路に出る際、私はミスを侵してしまった。それは、一番左の通行帯に入るところを、私は右の追い越し車線に車線からはみ出しつつ入ってしまった。しかも、「ウィンカーが自動的に切れない」という事がココで初めて判明し、焦って手動で切った。
 どうやら、試験中止(省略)の様である。プラットホームへ向かい、初回の試験中止。試験官のアドバイスは「練習した?」との事だった。免許証と赤線入りの受験の手引きが返却され、再予約票を渡された。
 不合格である。初回は、兎に角機械を知る事に重点をおいていたので、不合格は納得である。4400円分の東京都収入証紙を買い、次回の予約を取り、受験票を受け取り帰投。
 

2003年03月04日 晴れ-強風
 第二回戦も13:00からの午後試験である。試験車両は前回同様、WA100である。ちなみに、府中運転免許試験場には大型特殊の試験車両が2種類ある。私はそれを警戒していた。
 気合いを入れ、車両に乗り込む。もう操作について、戸惑う事はない。各種レバーを確実に操作し、走行準備を完了、出発する。
 試験開始。マズイ。早速「ふらついてるぞ」と試験官から一喝。自分では感じなかったが、相変わらず直進でふらついているようだ。しかし、試験は順調に進行。前回は省略された踏切や方向変換(T字路で車庫入れ感覚)もクリア。もしかすると、合格かと思いつつWA100を転がしていると、マズイ。再び「ふらつくなぁ」の一喝。どうやら、右左折直後からの直進時にふらつくようだ。そして、プラットホームに到着。
 試験官からのアドバイスは「良く出来ましたね」。お?合格かなと思ったら、「大分、ふらついてたよ」との一言により、不合格。4400円分の東京都収入証紙を買い、次回の予約を取り、受験票を受け取り、何だか物凄く落ち込み帰投。
 
  
WA100は、かなり流通している機械(偶然、会社に留置されていた「WA100」)。

2003年03月11日 晴れ-強風
 何故か、強風の日に恵まれる大型特殊試験。第三回戦も13:00からの午後試験である。3回目ともなると、顔見知りの戦友が自然に出来たりする。ある戦友の彼は、大特2種を受験しているとの事だった。ちなみに、大特2種も1種と同じ車両・コースで、ただ合格点が1種70点に対し、2種80点となるだけである。
 今回の私の順番は8番目である。試験まで約一時間待機する。出番近くとなり、プラットホームへ向かうと、何と試験車両が変わっている。コマツのWA100ではなく、CAT製910Fである。兎に角、焦った。操作法がかなり違うと、確信されるからだ。
 いざ乗ってみると、その通りだった。最も戸惑ったのは、サイドブレーキの位置であり、座席の左脇ではなく、インチングペダルの左側のペダルとレバーがそれである。操作法としてはレバーを上に引くとブレーキが解除され、ペダルを踏むと緊締されるというものだった。他には、作業機レバーの安全レバーが簡素な取っ手タイプだったりする。作業機レバーはコマツ同様、自分で説明イラストを理解し、操作する。ちなみに、試験官はコマツ・CAT共に左側の座席に座っている。
 試験スタート。車体はコマツよりやや小さ目。縦揺れの激しさが気になるが、大特車では仕方無い。兎に角、私は緊張し、慎重に転がした。
 しかし、事件は起こった。初回でミスを侵した、外周の通行帯が2つある道路に出る交差点である。標識に従い一時停止し、左右を確認し、外周に出ようとした。ところが、左から警官が運転する自動二輪の試験車両が、高速度で近づいて来たのを私は見落とし、試験官に補助ブレーキを踏まれた。バイクはバイク専用のコースのはずであるが、どうやらバイクの回送だったらしい。補助ブレーキ(操作)試験中止であるが、なぜか試験は続行。私自身は、もう今回は駄目だと躍起になり運転する。この注意力散漫により、再びミス。赤色点滅信号機を、注意して進行の黄色点滅信号機と誤認して、一時停止せずに通過し、再び補助ブレーキ。
 試験中止。試験官からのアドバイスは「補助ブレーキね」の単刀直入な一言。不合格である。4400円分の東京都収入証紙を買い、次回の予約を取り、受験票を受け取り帰投。
 

2006.02.03現在、受験の手引きは府中の全技能試験で、その使用が廃止された模様。

2003年03月20日 晴れ
 ようやく風が収まった試験日。余談、私は風の強い日が、他のどんな天気よりも何より嫌いだ。理由は省略。試験コースの桜の木も微かに色付き始めて来た。第四回戦も13:00からの午後試験である。試験車両は悪夢のCAT・910Fである。個人的に米軍好きの私であるが、CAT製の機械は苦手である。この日の技能試験室の大型テレビには、イラク戦争開戦のNHKニュースが流れていた。
 米兵のように、私も逞しく頑張らねばと思いつつ、試験開始。やはり、失敗した経験〜教訓を有すると、二度目は大抵上手くいく。順調にコースをこなす。しかし、事は起きる。交差点左折直後、ハンドルを戻しきらない内に、障害物が出現する道路で、ふらつき軽い補助ブレーキ。対向のAT車が信号待ちをしていて、更に右折のため道路中央に寄っていたので、障害物との間はかなり狭くなっていた。
 試験中止。試験官からのアドバイスは「ふらついてては、合格あげられませんから」との事。不合格である。4400円分の東京都収入証紙を買い、次回の予約を取り、受験票を受け取り帰投。さすがに、予算が厳しくなってきた。
 
2003年02月27日 晴れ
 第五回戦も13:00からの午後試験である。今回取らなければ、スケジュール的にマズイ。大学が始まってしまう。イラク戦争も米軍が着実にバクダットへ進攻。ただ、米英軍人の事故死がやるせなくてやまなかった。試験車両は再び、技能講習でお世話様=コマツのWA100が復活。どうやら、約2週間単位で試験車両が入れ替わるパターンらしい。又、今回は技能試験室において発見があった。室内後方に「試験コース図」が掲示されていた事に気付く。私は、コースは試験官の指示に従うのみと思っていた。後悔する事もなく、必至で今回の試験コースCコースを頭に叩き込む。
 試験開始。やはり日本製はイイ。小松製作所、最高。重機ブランドと言えば、コマツ。JR貨物のDD51形式ディーゼル機関車の更新エンジン(SA12V-1)も作っている。10番目の一番最後の順番という事もあり、他車種の技能試験がほとんど終了しており、試験コース内はかなり空いている、貸し切り状態。非常に運転し易い。踏切では御丁寧に一時停止時に手を伸ばし、右手の窓を開けた(手動)。右左折時も最徐行で通過し、何とか直後のふらつきを回避。しかし、試験官に感づかれ「もっとアクセル踏んで」と指摘される。仕方なく、ふらつきに気を付けつつ速度を上げる。試験は順調に進行する。Cコースを完走しプラットホームに着き、バケットのチルトを押し、下げる。
 さて、試験官のアドバイスは「はい。T澤さん、合格です。特に悪いところは有りません」。よっしゃ。遂に合格。この一箇月間、気掛かりで仕方なかった、大特試験の行方でのイラ付きが一気に晴れた。しかし、左折時の大回りを注意された。ハンドルを切るタイミングを、早めにすると更に良いそうだ。このアドバイスで落ち込む事はもう無い。この日ばかり警察官が天使に見えた事はない。「有難う御座いました」と言い、大特車を降りる。免許交付手数料1750円分の東京都収入証紙を買う。その後、写真撮影をし約一時間後の17:00前には真新しい免許証が交付され、種類の欄にしっかり「大特」の文字が刻まれた。私は過去に、様々な資格試験を受験して来たが、もしかしたら一番嬉しかった瞬間だったかもしれない。
 

 結論。大特は大型・けん引等に比べ、安易な試験である。ミッションはトルコン(AT)式で、MT操作必要とされず、コースも短く、難しいとされるのは「ふらつき」と「方向転換」等である。私は5回目での合格であったが、大抵平均2〜3回で合格するそうである。普段、自動車を動かしていない私でも受かってしまうのだ。従って、全く重機に接した事の無い人でも合格する事は、不可能ではない。ただ「不合格」時のショックと落ち込みにも耐え、歯を食いしばれる根気・忍耐力が必要となる。正直、試験官の警察官は優しくない。是非、皆さんも554(警官)から勝利(合格)を勝ち取ってみてはいかがだろうか。
 


使用テキスト等

無し


  

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