二級ボイラー技士...21世紀に蒸気機関車の運転士になるには?


二級ボイラー技士







感想等

 ボイラーは、密閉した容器内に水又は熱媒(特殊な油等)を入れ、これを火気及び燃焼ガスその他の高温ガスによって加熱し、蒸気又は温水を作り、それを他に供給する装置であって、蒸気ボイラーと温水ボイラーに大別される。
 その多くは、油・ガス・石炭等の化石燃料を燃焼させ、その際に生じる熱によって水を加熱し、水蒸気を発生させる蒸気ボイラーが多い。要するに、ボイラーとは熱エネルギーを電気エネルギー、運動エネルギーに変える、エネルギー変換器である。電気機器に例えると、整流器やコンバータ、インバータといえる。又火力発電所(化石燃料を使用)や原子力発電所(核燃料を使用)も平たく言えば、構造は「ボイラー(エネルギー変換装置)」そのものと解釈しても大きな間違いではない。
 「ボイラーを使うのはメットを被った工場のオッちゃんくらいだろ」と思ったら、それは間違いである。工場で用いる熱源の他、デパート等の流通商業施設やビル、大型マンション、病院、学校等々の給湯、エアコン他の熱源の供給設備として、誰もが必ずお世話になっているのが、ボイラーである...よく大都会のビル等の脇に重油のタンクローリーが止まってる=間違いなくボイラーの燃料輸送である。しかし、その内部には高圧で膨大なエネルギーを保有しており、運転や保守を誤ると、破裂・爆発等の災害に直結する危険性を持つ。
 このような災害の防止とボイラーの経済運転を遂行する為の必要な知識を備えた資格者が、今回のボイラー技士免許(ボイラーマン)だ。
 二級ボイラー技士が取り扱う事の出来るボイラーは、伝熱面積25u未満のボイラー・伝熱面積の合計が250u未満の貫流ボイラー、小規模ボイラーである。


未経験者の方は、まずボイラー実技講習を修了し、受験資格を得て下さい。


二級ボイラー技士免許試験の出題範囲
試験科目 範 囲
ボイラーの構造に関する知識 熱及び蒸気、種類及び形式、主要部分の構造、付属設備及び付属品の構造、自動制御装置
ボイラーの取扱いに関する知識 点火、使用中の留意事項、埋火、付属設備及び付属品の取扱い、ボイラーの用水及びその処理、吹出し、清浄作業、点検
燃料及び燃焼に関する知識 燃料の種類、燃焼方式、通風及び通風装置
関係法令 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生規則中の関係条項、ボイラー及び圧力容器安全規則、ボイラー構造規格中の付属設備及び付属品に関する規条
南雲健治著『はじめての二級ボイラー試験』(オーム社)見開き頁より抜粋

 私は、二級ボイラー技士試験の対策を進める中で、モノを燃やす事(燃焼)について、よく理解でき再認識出来たと自負している。それは、モノを完全燃焼させると、煙(ガス)は無色透明、或いは湿度との兼ね合いで白色になるという事である。要するに、空気量と燃焼量の調整を適正に行えば、目に見えて排出されるのは水蒸気くらいと言う訳である。
 考えてみれば、そうである。家庭用コンロやライターに着火しても、煙は出ない。火葬場の煙突からもモクモクと煙は出ていない。これらは、ほぼ完全燃焼に近い形で燃焼しているのである。
 酷い例と言えば、蒸気機関車(移動式内だき横煙管ボイラー)である。何と、現在観光用で運転されている蒸気機関車は、ファンサービスの為に、あえて不完全燃焼させ、黒煙を吐かせているという。ファンが待つ撮影ポイントを通過する際に「重油併燃装置」のバルブを開き、炉内に重油を吹いてやるそうだ。
 ボイラーを知っている、いや燃焼を知っている鉄道ファンならば、「黒煙」を喜ぶはずが無い...旧国鉄時代の「黒煙防止」然り!
 ちなみに、蒸気機関車の運転士になるには「動力車操縦者運転免許の甲種蒸気機関車運転免許」と「一級ボイラー技士免許」(助士は二級)が必要=JREの場合。

 

 独断の想像ネタとなるが、21世紀の現代において蒸気機関車は石炭を主燃料にする必要が無いのではないだろうか。重油や天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)を燃料とするボイラーを搭載する事も可能なはずである。更に、ボイラーを自動制御してしまえば、蒸気機関車をワンハンドルで運転…。
 21世紀型の新製蒸気機関車の登場を心待ちにしたい!...D510型蒸気機関車とか。







使用テキスト等

『厚生労働省安全衛生部安全課監修 ボイラー実技テキスト』,社団法人 日本ボイラ協会 発行,H15.03.31
『ボイラー図鑑』,社団法人 日本ボイラ協会 発行,H12.03.31
『二級ボイラー技士試験標準問題集』,社団法人 日本ボイラ協会 発行,H16.06.20




  

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